覚醒剤無罪判決が止まらない

覚せい剤取締法違反(使用)の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた直後、再び覚醒剤を使ったとして、同法違反の罪に問われた宮城県の30代無職男性の判決で、仙台地裁が「暴力団関係者に覚醒剤使用を強いられた疑いが残り、摂取の故意は認定できない」として無罪(求刑懲役2年)を言い渡した。男性は2017年6月13日に同法違反の罪で懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年の判決を受け、同日釈放。その後、同18日までに県内かその周辺で覚醒剤を使ったとして逮捕、起訴。男性は公判で「釈放後に暴力団関係者から『警察官に薬物の売人情報を暴露しただろ』と問い詰められたり脅され、その際に無理やり覚醒剤を注射された」と供述。17日の判決で田郷岡正哲裁判官は「供述の核心部分を信用できないと断じることはできない」と判断。
検察側は、男性が釈放後に暴力団関係者2人と一緒に自ら覚醒剤を注射する様子を撮影した動画を証拠提出。公判で2人が「動画は遊びで撮った」「無理やり薬を使わせた事実はない」などと証言したことを踏まえ、「動画の中で男性が抵抗するような様子はなく、自らの意思で覚醒剤を摂取した」と主張していた。判決で田郷岡裁判官は「暴力団関係者には男性に報復する動機があった」と指摘。動画には「絶対消さねえ」と発言する暴力団関係者の音声も記録されており「動画内容は2人の証言の裏付けにならず、男性が覚醒剤摂取を強いられ、従ってしまった状況を不自然とは言えない」と結論。

2018年08月25日